こんにちは。整理収納アドバイザーの田中まきこです。
先日、アドバイザーの知り合いから「5回ほど片付けサポートに入っているのに改善しないお宅がある」と相談を受けました。皆さんも、大掃除や模様替えに時間をかけたにもかかわらず、数週間でリバウンドしてしまった経験があるのではないでしょうか?
せっかくの労力を無駄にしたくないと誰もが思っているはず。それでも、リバウンドが起きてしまうのはなぜでしょうか?
今日は「リバウンドしないリビングの作り方」についてお話しします。今後の片付けの参考になれば幸いです。
リバウンドするリビング失敗例
リビングには「こうあるべき」という明確なルールはありません。しかし、ほとんどの家庭でリビングは家の中心として機能しているのではないでしょうか。リビングは、テレビやソファを置いて家族団らんができる、自然と家族が集まる共有スペースとして利用されがちです。
この家の中心であるリビングは、キッチンや水回り、玄関から近いことが多く、家族がそれぞれ思い思いに使っていると、リビングの利用目的が増え、結果として物がリビングに集中してしまうという問題が起こります。
ここからは、リバウンドの例として、「戸建てに住む40歳のAさん家族」を元に考えてみましょう。
Aです!リビングを絶対にスッキリさせたいと思います!!
それぞれのリビングの活用状況
Aさん(パート勤務)
・たまにネイルをする
・ソファーで昼寝する
・文房具などの管理をする
・洗濯物を畳む
・ご飯を食べる
・TVを観る
夫(会社員)
・釣り用品が置かれている
・たまに在宅ワークをする
・ご飯を食べる
・TVを観る
長女(中学3年生)
・勉強をする
・ご飯を食べる
・TVを観る
長男(小学4年生)
・昆虫のお世話をする
・学校の準備をする
・ゲームで遊ぶ
・ご飯を食べる
・TVを観る
Aさんは今回の片付けの中で、
趣味のネイル道具を減らしたり、息子の使わないゲーム、娘の古い教科書などを処分しました。
片付けた瞬間は、心も部屋もスッキリし、机の上には何もなく、とても清々しい気持ちでいました。
すっごい捨てたから!これなら大丈夫でしょ!
う~ん。どうでしょうね
しかし、1週間もしないうちに、リビングはほぼ元通りに。
- 長女は勉強道具をダイニングテーブルの端に置きっぱなし
- 長男はランドセルをソファの上で開いたまま遊び始める
- 夫の釣り道具も「あとで洗うから」とリビングの端に置かれたまま
- Aさん自身のネイル道具も途中で放置
Aさんは「片付けをしても、何も変わらなかった」とがっかりしてしまったのです。
がんばったのに・・もう諦めるしかないのかな・・
リビングの利用目的を見直す
Aさんの家のリビングの状況を一覧にすると、家族の様々な行動がリビングに集中していることが分かります。
限られたスペースに人の行動が集中してしまうのであれば、「こまめに片付ける」というルールを作るのが理想です。しかし、実生活では仕事や趣味、勉強に追われて、片付けにばかり意識を向けるのは難しいでしょう。
ここで重要なのは、「物の量」や「収納方法」ではなく、家族で「リビングの利用目的」を絞る話し合いをすることです。「リビングは家の中心」とだけでは、利用目的が曖昧です。
リビングで何をしたいのか、リビングはどのような空間であるべきか、家族で話し合いましょう。
リバウンドしにくいリビング実例
では、Aさん家のリビングの利用目的を再考し、リバウンドしにくい提案を見てみましょう。
このような利用目的ではどうでしょう?
くつろぎのリビング
リビングを家族の会話や娯楽のスペースとし、それ以外の用途は他の部屋へ分散させる方法を選択したとしましょう。
リビング
- TVを観る
- ご飯を食べる
- 長男がゲームで遊ぶ
- Aさんがソファーで昼寝
子供部屋
- 長女が勉強をする
- 長男が学校の準備をする
- 長男の昆虫のお世話をする
書斎
- 夫がたまに在宅ワークをする
- Aさんがたまにネイルをする
- 文房具の管理
- 洗濯物を畳む
脱衣所
- 夫の釣り用品を置く
どう変わる?新たなリビングの使い方
では、この提案例をAさんのお宅で実践した場合、Aさんの家のリビングはどのように変わったでしょうか。
長女は勉強後にリビングへ降りてきて、TVを観ながらリラックス。
長男はリビングでゲームを楽しんでいます。
夫の釣り道具は脱衣所に置かれ、
Aさんは、いつもよりも夕食の前後の家事が楽になり、ネイルケアをするために書斎へ向かうことができました。
びっくり!本当にリビングが乱れない!どうして??
それはモノが、各部屋へ分散されたからですよ
家族の活動は変わりませんが、
リビングの「やりっぱなし」のモノが圧倒的に減ったことで、すっきりした空間が保たれています。
また、リビングだけでなく、それぞれの場所にも利用目的が生まれた為、今後は、各部屋を使うそれぞれが、自分達のリズムでモノを利用し片付ければいいのです。
人の意識を無理やり変えることは難しいですが、環境を変えることは比較的簡単です。
だからこそ、大量の後片付けに悩むのではなく、そもそも乱れないリビングにするための利用方法を考えるべきなのです。
ライフステージのタイミングで見直しを
最後に、リビングの見直しは家族のライフステージに合わせて行うことがおすすめです。
大人だけの生活では、趣味や仕事、健康面での変化があったタイミングで見直しを行うと、より効率的な生活が送れるでしょう。お子さんがいる家庭では、成長や進学のタイミングが理想です。
乳児・幼児期は目が離せないため、リビングの利用目的が複雑になることもあるでしょう。しかし、小学生になるタイミングでは、少しずつリビングからお子さんの物を別の部屋へ移動させることが可能です。
例えば、
受験のタイミングではリビングを勉強部屋。
夫婦2人になれば、なるべくモノを置かずに子供が帰郷した際に布団を敷けるようにする。
など、家族の状況に合わせてリビングの利用目的を定期的に見直しを行えば、リバウンドしないリビングを維持していただけると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。